診断
睡眠時無呼吸症候群の検査
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の診断には、医療機関を受診し検査を受ける必要があります。検査結果により睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、症状に応じて適切な治療法が処方されます。
その他の検査
簡易検査
簡易検査は、終夜睡眠ポリグラフ検査よりも検査項目が少ないのが特徴です。主に睡眠中の呼吸状態と血中酸素飽和度をモニタリングしています。通常医療機関で行う終夜睡眠ポリグラフ検査に比べて、簡易検査は自宅で行えます。
簡易検査は診断だけでなく、治療状況を確認するために使用することもあります。
スクリーニング検査
スクリーニング検査とは、パルスオキシメーターを用いて睡眠中の血中酸素飽和度をモニタリングする検査です。この検査では睡眠中の血中酸素レベルの変化を確認することができますが、睡眠時無呼吸症候群の診断はできません。
検査項目からわかること
AHIとは
AHIとは、無呼吸/低呼吸指数(Apnea/Hypopnea Index)のことです。この数値により、睡眠時無呼吸を評価します。AHIは、睡眠1時間に発生する無呼吸や低呼吸などの呼吸イベントの平均数をカウントします。
無呼吸とは、睡眠中の10秒以上の気流停止のことを言います。低呼吸とは、10秒以上の浅い呼吸(10秒以上の30%以上の気流の低下と、基準値に対して3%以上の酸素飽和度の低下または覚醒反応を伴う場合)のことです。低呼吸も無呼吸と同じくらい深刻です。
AHI | 重症度 |
<5 | 平常 |
5-15 | 軽症 |
15-30 | 中等症 |
>30 | 重症 |
AHIは、睡眠時無呼吸症候群の重症度を計測します。1時間あたりAHI5未満は正常な睡眠と見なされますが、1時間あたりAHI30を超える場合は、深刻な睡眠中の無呼吸があることを示します。
体動と睡眠障害
終夜睡眠ポリグラフ検査は、無呼吸と低呼吸を評価するだけではありません。睡眠検査では、その他の睡眠障害の調査も行われています。
RERA(呼吸努力関連覚醒反応)は、10秒以上継続する呼吸努力の後に覚醒を伴う状態のことです。RERAは、無呼吸や低呼吸以外で呼吸と睡眠の質に影響を与えるイベントです。
また、睡眠検査では、覚醒や脚の動きも検出できます。 これら検査項目も、診断と治療方針を決める際に考慮する必要があります。
睡眠ステージ
各睡眠サイクルには、N1、N2、N3、およびREM(急速眼球運動)睡眠として知られる4つの睡眠ステージがあり、寝ている間にこれらのステージが繰り返し行われます。
睡眠時無呼吸症候群は、最も深い睡眠状態(N3)に到達するのを妨げ、覚醒を引き起こす可能性があります。そのため、日中の疲労感や眠気を感じるようになります。
臨床検査技師は、睡眠ポリグラフ検査の一部である心電図や脳波のデータを分析することにより、睡眠ステージが中断されているかどうかを識別します。
体の向き
体の位置も睡眠時無呼吸症候群に影響を与える可能性があります。
睡眠検査では、仰向け(仰臥位)、うつ伏せ、右または左の横向き(左右の横臥)でどのくらいの時間眠っているかを示します。
SpO2(動脈血酸素飽和度)
睡眠中に呼吸が止まると、血流に必要な酸素が供給されないことを意味します。吸入した酸素がどの程度血流に吸収されているかを動脈血酸素飽和度(SpO2)によって測定しパーセンテージで表示します。
重度の睡眠時無呼吸では、酸素レベルが60%以下になるなど、非常に低い場合があります。酸素飽和度が92%を下回ると、体と脳の酸素が奪われます。 これは、脳の損傷や深刻な心臓血管の問題につながる可能性があります。 CPAP療法は、呼吸、睡眠、酸素レベルを正常化するために必要な気流を提供します。